
不動産売却の抵当権抹消はいつする?住宅ローン完済・決済時の手順
「住宅ローンを払い終えたのに登記簿には銀行の名前が残っている」 「ローン残債がある家は売れないのでは?」 と疑問に感じる方は少なくありません。
売却前に知っておきたいのが、抵当権は住宅ローンを完済しても登記簿から自動的には消えないという点です。 ローン完済とは別に、抵当権抹消登記という手続きが必要になります。
- 住宅ローンを完済しても抵当権は自動では消えない
- ローン残債がある売却では決済日に完済・抹消を進めることが多い
- 抵当権抹消の登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円
- 登記上の住所・氏名が現在と違う場合は変更登記の確認が必要
- 2026年4月1日から住所等変更登記が義務化されている
抵当権は住宅ローンを完済しても自動では消えません
抵当権とは、住宅ローンなどの債務が返済されなかった場合に備え、 金融機関などの債権者が不動産を担保として確保するための権利です。
住宅ローンを完済すると、抵当権を存続させる原因となった債務はなくなります。 しかし、登記簿に記録されている抵当権そのものは、自動的には削除されません。
法務局も、住宅ローン完済後に金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取った場合は、 紛失や汚損を避けるため、できるだけ速やかに登記申請するよう案内しています。
完済しただけで安心せず、登記事項証明書で抵当権が残っていないか確認しておくことが大切です。
住宅ローン残債と登記状況は、売却活動を始める前に確認しておきたい項目です。
住宅ローンが残っていても不動産は売却できます
売却時点で住宅ローンが残っているからといって、 直ちに売却できなくなるわけではありません。
重要なのは、 売却の決済時までに住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できる資金計画が立つか という点です。
| 現在の状況 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 住宅ローン完済済み | 登記簿に抵当権が残っている場合は、売却前の抹消を検討します。 |
| 売却代金で残債を完済できる | 決済日に売却代金を受け取り、金融機関へ返済して抵当権抹消を進める方法が一般的です。 |
| 売却代金だけでは完済できない | 自己資金の準備など、抵当権を抹消するための別の資金計画が必要です。 |
そのため、住宅ローンが残る物件では 「いくらで売れそうか」だけでなく、 ローン残債・売却費用・売却後に残る金額をセットで確認する必要があります。
抵当権抹消はいつする?売却では決済日に行うケースが一般的
住宅ローンが残っている物件を通常の不動産売買で売却する場合、 決済日に買主から残代金を受け取り、 その資金を使って住宅ローンを完済する流れが一般的です。
そのうえで、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取り、 買主への所有権移転と抵当権抹消の登記を進めます。
- 司法書士等が売買・登記に必要な書類を確認する
- 買主から売主へ残代金が支払われる
- 売主が住宅ローン残債を金融機関へ返済する
- 金融機関側の抵当権抹消書類を確認する
- 所有権移転と抵当権抹消の登記申請を進める
- 鍵や関係書類を引き渡す
実際の段取りは金融機関や取引内容によって異なります。 売却が決まってから慌てないよう、 ローンを借りている金融機関に「売却による一括返済を予定している」と早めに確認しておくことが重要です。
売却時は、残代金受領・住宅ローン完済・登記・鍵の引渡しを連動して進めます。
抵当権抹消にはどのような書類が必要?
法務局の案内では、一般的な抵当権抹消登記で、 金融機関などから交付される書類として 「登記原因証明情報」「委任状」「登記識別情報または登記済証」などが挙げられています。
金融機関によって書類の名称や交付方法が異なる場合があります。 完済後に受け取った封筒や書類は、内容が分からないからと処分せず、 抵当権抹消手続きが完了するまで保管しておきましょう。
ただし追加の確認や手続きが必要になることがあるため、 売却予定がある場合は早めに金融機関や司法書士へ確認してください。
抵当権抹消の登録免許税はいくら?
抵当権抹消登記の登録免許税は、 原則として不動産1個につき1,000円です。
例えば、一戸建てで土地1筆・建物1棟の合計2物件に抵当権が設定されている場合、 登録免許税は原則2,000円となります。
マンションでは敷地権の数などによって不動産の個数が変わる場合があるため、 単純に「マンションだから1,000円」とは限りません。
また、司法書士に手続きを依頼する場合は、 登録免許税とは別に司法書士報酬等がかかります。 報酬額は依頼内容や事務所によって異なるため、個別に確認してください。
登記手続きや個別の登記判断については、司法書士等の専門家へご確認ください。
2026年は登記簿の「住所・氏名が古いまま」にも注意
2026年4月1日から義務化抵当権抹消の前に確認したいのが、 登記簿に記載された所有者の住所・氏名と現在の住所・氏名が一致しているか という点です。
法務局の抵当権抹消手続き案内では、 現在の所有者の氏名・住所が登記記録と一致していない場合、 先に住所・氏名の変更登記等を行う必要があると案内されています。
さらに、2026年4月1日から不動産所有者の住所・氏名等の変更登記が義務化されました。 原則として、住所や氏名等が変わった日から2年以内に変更登記を申請する必要があります。
2026年4月1日より前に住所等が変わっていて、 まだ変更登記をしていない場合も義務化の対象となり、 原則として2028年3月31日までの対応が必要です。
売却活動を始める段階で登記事項証明書を確認しておくと、 後半の手続きを整理しやすくなります。
すでにローン完済済みなら、売却前に抵当権を確認する
住宅ローンを数年前に完済している場合でも、 抵当権抹消登記をしていなければ登記記録上は抵当権が残っています。
特に、 「完済時にもらった銀行の書類がどこにあるか分からない」 という状態で売却を始めると、 必要書類の確認に時間がかかる場合があります。
売却予定が具体化した段階で、 登記事項証明書と手元の書類を確認しておくと安心です。
住宅ローン残債と売却後の手取りを先に整理したい方へ
抵当権を抹消できるかどうかは、 住宅ローン残債だけでなく、現在の売却可能価格や売却費用も含めて考える必要があります。 売却前に現在価値を確認しておくと、資金計画を立てやすくなります。
抵当権抹消前に確認したいポイント
- 現在の住宅ローン残高はいくらか
- 売却代金でローンを完済できる見込みがあるか
- 登記簿に抵当権が残っているか
- 完済後に金融機関から受け取った書類を保管しているか
- 登記上の住所・氏名が現在と一致しているか
- 土地が複数筆に分かれていないか
- 金融機関へ売却による一括返済方法を確認したか
- 登記の専門判断が必要な場合に司法書士へ確認できるか
よくある質問
A. 原則として自動的には消えません。 金融機関等から必要書類を受け取り、抵当権抹消登記を行う必要があります。
A. 査定自体は可能です。 むしろ売却可能価格と住宅ローン残債を比較することで、 抵当権を抹消できる資金計画が立つか判断しやすくなります。
A. 売買契約時点では抵当権が残っており、 決済・引渡し時に完済と抹消を行う取引は一般的にあります。 ただし、決済までに確実に抹消できる見込みを確認しておくことが重要です。
A. 法務局は本人申請用の申請書様式や案内を公開しています。 一方、売却決済と所有権移転を同時に進める場合などは、 司法書士等の専門家へ依頼する方法もあります。
A. 抵当権抹消や売却手続きの前提として、 住所変更登記等が必要になる場合があります。 2026年4月1日から住所等変更登記が義務化されているため、 早めに登記状況を確認してください。
まとめ|売却価格だけでなく「残債と抵当権」まで確認する
住宅ローンが残っている不動産でも、 売却代金や自己資金でローンを完済し、 抵当権を抹消できる資金計画が立てられれば売却を進めることができます。
一方で、売却価格だけを見て判断すると、 仲介手数料などの売却費用を差し引いた後に 「ローンを完済する資金が足りない」ということも考えられます。
また、ローンをすでに完済している場合でも、 抵当権が登記簿に残っていたり、 所有者の住所が古いままになっていたりすることがあります。
売却を具体的に始める前に「売却価格・住宅ローン残債・登記状況」の3点を確認する ことが、スムーズな売却につながります。
